【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「もしかして……」
「何?」
「前に、新見さんと約束しているお店に行く途中に、男の人に声をかけられたのを、覚えてません?」
「あー、詩乃ちゃんがナンパされたこと?」
思い出しても不愉快だ、というように、顔をしかめた専務に慌てて首を横に振る。
「ナンパじゃないです! あの人が、『かわいいね』って言ったの、きっとこの猫耳と尻尾のことですよ。あの人には猫耳が見えていたんですよ!」
「なんで、なんの関係もない通りすがりの男に?」
「どこかで見たことある人だなって、思ってたんです! でも、普段白衣を着ている姿しか見てなかったから、私服だとイメージが違って気づかなかった」
「白衣?」
「ハチをいつも見てくれていた、獣医さんですよ」
私がそう言うと、専務は記憶をさぐるように視線を泳がし、首を傾げた。
「俺と、同級生と、獣医師には見える……?」
「三人とも、ハチに会ったことがあります」
私の言葉に、専務はこちらを見た。