【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「気になって会社の前で待ち伏せしたら、お前、普通に猫耳と尻尾つけて会社から出て来るし、でもそれを気にするやつもいないし」
千葉くんは言葉を区切って、一度黙る。
その沈黙が落ち着かなくて、そわそわと尻尾が揺れる。
「どういうことだよ」
「どういうこと、と言われても……」
「他のやつには見えてねぇの?」
仕方なく素直に頷くと、「まじか……」と千葉くんがつぶやいた。
私の事を観察するように、じっとみつめられて、居心地の悪さに俯いて肩をすぼめる。
不意に千葉くんがこちらに手を伸ばした。
「触ってもいい?」
そう聞かれ、昨日乱暴に耳を掴まれた痛みが蘇って、思わず体が強張った。
「痛くしねぇから」
私の心を見透かしたようにそう言って、答えを待たず耳に触れる。
恐る恐る三角の耳の先端を指でつまみ、軽く引っ張る。
痛くはないけど不快で、思わず眉をひそめた。
「すっげぇ。本当に猫の耳だ」
「……もういいでしょ」
素っ気ない口調でそう言うと、千葉くんは素直に耳から手を離す。