【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 

クラスの女の子たちの言うように、私はからかわれていたのにも気づかず、ひとりで馬鹿みたいに浮かれていたんだ。
いそいそと浴衣を着て、髪を結って、待ち合わせの場所で来るはずもない千葉くんを雨の中ひとりで待っていた。

その時の苦しい気持ちが、生々しく蘇る。

「高校の時のことは、俺も悪かったと思ってる」

私の考えていることが伝わったのか、千葉くんが苦しげな顔でそう言った。

「悪いって……」
「花火大会の時、家の手伝いで約束の時間に行けなかった。何回もお前のケータイに電話したけどぜんぜん繋がんなくて、仕方なくクラスの女子に『どうしても行けなくなった』って伝言頼んだのに完全無視だし。次の日も、次の日も、電話したのに出なかっただろお前」
「今更そんな適当なこと言って、誤魔化そうとしないで。女の子たちが言ってた。千葉くんは最初から待ち合わせにくるつもりなんかなくて、私が騙されて待ってるかどうか賭けをしてたって!」
「違げぇよ!」

千葉くんがそう怒鳴って、腕に力を込めた。
掴まれた手首がギシリと鳴って、思わず悲鳴を上げる。

「本当に、おやじに畑の手伝いしろって言われて、そのうち大雨が降ってその対応にますます手が離せなくなったんだって。お前だってわかるだろ? あの時、町中大変だったこと」
「じゃあなんで、あんなひどいことを言ったの!?」

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