【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「やめて……ッ!!」
絞り出すように叫んだ時、体にかかる重みが急に無くなった。
誰かが私の体から、千葉くんのことを引き離した。
驚いて目を見開くと、そこにいたのは専務だった。
「せん……」
『専務』と呼びかけようとした時、ばさりと頭からなにかを被せられた。
ふわりと専務の匂いに包まれて、スーツの上着だと分かる。
大きなスーツの中からもがくように顔を出した時、鈍い音が響いた。
驚いて顔を上げると、千葉くんは顔をゆがめアスファルトの上に倒れていた。
その前でこぶしを握り、千葉くんを見下ろすその人。
白いシャツにベスト。
彼のために仕立てられた上質なそれらが、雨に濡れ体にはりついていた。
専務の柔らかい髪の上にも、整った横顔にも、雨粒は振り続け、透明な雫を垂らす。
「俺の秘書に、気安く触らないでもらおうか」
静かに言った言葉に、ぞっとするくらいの怒りが込められていて、どうしようもなく心を揺さぶられる。
私のために、いつも穏やかなこの人が、こんなにも怒っている。
それだけで、泣きたいくらい嬉しかった。