【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「俺は来週の頭には地元に帰る。このまま猫に取り憑かれたままでいるか、無理やり除霊するか、それとも成仏できるようにできることを試すのかは、自分で決めろ」
そう言って、視線を専務に移す。専務の顔をじろりと睨みつけた後、千葉くんは無言で歩いていった。
専務とふたり取り残され、ぎこちなく視線を上げ専務のことを見る。
専務はなにか考え込むように、険しい顔で足元を見つめていた。
そんな怖い顔で、なにを考えているのか知りたい。
でも、知るのが怖い。
「専務……」
恐る恐る問いかけると、専務が小さく笑う。
「詩乃ちゃん、大丈夫だった?」
こちらに向き直り、私の前髪から滴る雨をそっと指で拭いながらそう言う。
「だ、大丈夫です。あの、助けてくださって、ありがとうございました……」
肩にかけられた上着をぎゅっと握りしめながら頭を下げると、専務が首を横に振る。
「警備会社のスタッフに、詩乃ちゃんを待ち伏せしてる男がいたら連絡してくれって頼んでたんだ。間に合ってよかった」
専務は目元だけで小さく笑いながら、雨に濡れた髪を鬱陶しげに掻き上げる。
その仕草が妙に色っぽくて、鼓動が早くなる。