【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
この人は私のことなんて知りもしないはずなのに、妙に自信に満ちた口調で言われ、顔が熱くなった。
小さな頃からずっと可愛げがないと言われてきた私は、男の人に可愛いと言われたことなんて数えるほどしかなくて、情けないけどひどく動揺していた。
ただのお世辞なんだから、勘違いするな。落ち着け。
そう必死に自分に言い聞かせる。
『ひとつ、聞いていい?』
そう言われ頷くと、専務がデスクに頬杖をつきながらこちらを見た。
『冬木さんはどうしてこの会社を受けたの?』
まるで入社試験の面接のような質問に、少し驚いて口ごもる。
生活において欠かせない食の重要性と、食べることの喜びを……なんて、二年前に口にした志望動機を言いかけて、でも小さく首を横に振った。
『……私の地元は、町の面積のほとんどが山か農地かっていうくらいの田舎なんです』
そう話し出すと、専務は静かに頷いた。
『もう数年前になりますが、私が高校生だった時に大きな台風の被害を受けたんです。町の主要産業だった農業は大きな損害を受けて、物流も途切れ町中大騒ぎでした。その時、綾崎グループには大変大きな支援をいただきまして』
『そうなんだ』
専務は私の言葉を聞いて、くしゃりと目尻を下げて笑った。