【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 



そんな昔の夢から覚めて、うっすらと目を開けた。


まだ夜が明けたばかりなのか、窓から差し込む柔らかな光で部屋の中が薄っすらと青白かった。

夜のうちに雨が上がったようで、窓の向こうのビル街が朝もやに包まれて霞んでいた。

ぼんやりと首を横に向ける。
すると、目の前に専務の顔があって、驚いてびくりと飛び上がった。

専務はそんな私の動揺にも気づかず、私の腰に腕を回しぐっすりと眠っていた。
目をつぶった端正な顔。仕事中よりずっと無防備で、少し、幼く見える。


……この人と、寝てしまった。

冷静に心の中でつぶやいて、自分の思い切った行動に改めて驚く。

ずっと憧れていた。ずっと好きだった。

だけど、自分から手を伸ばそうなんて、考えたこともなかった。たとえ一夜限りでも、こうやって一緒に過ごせるなんて夢にも思っていなかった。

軽く首を起こそうとして、じわりと体を覆う蜜のような倦怠感に、昨夜のことを思い出す。

全部覚えておこうと思った。
専務の手の温度も。
肌に触れた髪の柔らかさも。
優しい囁きも。
乱れた呼吸も。
唇の湿度も。
覆いかぶさる重さも。
全部、全部。

 
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