【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
強張ったままの表情で「そうですか」と感情のない声でつぶやく。
「冬木さんはこういうの、もらっても迷惑がるだけですよ。私がもらってもいいですか?」
小首を傾げて専務を見上げる桃井さん。
その可憐な笑顔に、思わず可愛いなと思ってしまった。
可愛ければ全て許されるというわけではないけれど、小さなおねだりや些細な我が儘が似合ってしまう彼女が羨ましい。
「でも」と言いかけた専務の言葉を遮って、桃井さんがこちらを向いた。
「いいですよね? 冬木さん」
自分が欲しいものは自分がもらえると信じて疑わない無邪気な笑顔。
きっと専務だって、にこりともしない無愛想な女よりも、満面の笑みで喜んでくれる可愛い桃井さんにあげた方が、気分がいいに決まってる。
「……どうぞ」
感情を押し殺してうなずくと、桃井さんは「やったぁ」と嬉しそうに飛び跳ねた。動きに合わせぴょんぴょんと、彼女の緩く波打つ髪の毛が揺れる。
「ありがとうございます、専務。私みんなに専務から『にゃんだろう君』グッズもらったって自慢しちゃおうっと」
桃井さんとは対象的に、専務は不機嫌そうだった。形の良い眉をひそめ、桃井さんのことを見下ろしていた。
ガラスのポットの中で冷えた紅茶を氷が入ったグラスに移し、トレイに載せて専務に近づくと、その不機嫌そうな視線がこちらに移る。