【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「専務。そろそろお時間です。きっともうエントランスで乾さんが待ってますよ」
今日は男性秘書の乾さんの車で移動する予定だ。
時計を見上げながらそう言うと、専務は小さくため息をついた。
玄関まで見送ろうと専務について廊下を進む。
靴を履き私を振り返った専務が、私をふりかえった。
「じゃあ、行ってくるね」
「はい」
「行ってらっしゃいのキスは?」
「は?」
唐突にそう言われ、思わず頬が熱くなる。
キスはもう何度もしたけど、自分から専務にしたことはなくて、突然のおねだりに動揺して視線が泳ぐ。
「そ、そんなの、できません。それよりも早く行かないとお時間が……」
どうか専務に動揺を悟られないようにと、腕で顔を隠しながらそう言うと、専務が意地悪に笑った。
「冷たいなぁ。寂しいから私を置いて行かないでって、ワガママを言ってくれてもいいのに」
「そんな、専務を困らせることを言うわけないです」
「ふーん。じゃあ行ってくるね」
私の返事に不満そうに小さく眉を上げると、そう言って玄関の扉を開く。
「はい。お気をつけて」
そう返事をすると同時に扉がしまった。