【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
そわそわと落ち着かなくて、パタパタ冷蔵庫を開けてみたり、味見をしては鍋の蓋をとじてみたり。
好きな人に料理を作るなんてはじめてで、不安で「うー」と小さくうなりながらキッチンで足踏みをする。
早く帰ってこないかな。
そう思って時計を見ても、さっきから少しも時計の針が動いていない。
人を待つ時間は、どうしてこんなにすぎるのが遅いんだろう。
そう思いながら、窓辺においてある椅子に腰掛け膝を抱える。
ここでずっと外を見ていたら、専務が帰ってくるのが見えるかな。
でも、この部屋は高すぎて、下を歩く人の姿は米粒のようだし、きっと専務は秘書の乾さんの運転する車でエントランスまで横付けしてもらうから、その姿が見えるわけがない。
「早く帰ってこないかなぁ……」
ふぅっとため息を吐き出し、膝に顎をのせてぼんやりとしていると、後ろからクスクスと笑い声が聞こえて飛び上がった。
慌てて振り返る。
と、いつの間に帰ってきたのか、そこには専務が立っていた。
「せ……専務!」
「詩乃ちゃん、ほんと可愛くて困るね」
驚きで目を見開く私に、専務は口元を覆いながら肩を揺らしていた。