【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「そう言えば、今日社長に言われたんだけど、そのうち北海道に出張に行くことになりそう」
コートを脱ぎながらそう言った専務に、首を傾げる。
「商談ですか?」
「北海道で食育をテーマにした体験型の農場を作ろうってプロジェクトがあるんだよね。宿泊施設も併設して短期滞在型の農業体験が出来るテーマパークみたいなの。そこにスポンサーとして参加を見当してて」
「へぇ……、素敵ですね」
「その視察のついでに、詩乃ちゃんの地元も案内してくれない?」
そう言われ、私は瞬きをした。
「私の地元は、特に案内するような観光地もないですよ」
「観光地じゃなくて。詩乃ちゃんが育った街をちゃんと見てみたい」
「私の育った街ですか……」
「あの町の真ん中を流れる川も、反乱して灰色の濁流になったところしか見たことないけど、普段はもっと綺麗な景色なんでしょ?」
突然そう言われ、驚いて目を見開く。
確かに、町の真ん中には大きな川が流れているけど。
濁流って、一体どういう意味だろう。