【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「あの後、ちゃんと話しできた?」
「……お前みたいな可愛くない女と、本気で付き合うわけねぇだろ!って言われました」
私がそう言うと、専務が驚いて顔をしかめる。
その表情に、私は慌てて首を横に振った。
「でも、本心じゃなかったそうです。十年間、ずっとその言葉が忘れられなくてトラウマだったんですけど、この前あった時に、悪かったって謝ってくれました」
「でも、どうしてそんな事を」
「それは……、嫉妬して思わず言ってしまったみたいです」
不満そうにそういう専務に、口ごもりながら答える。
「嫉妬? 誰に?」
「その、専務に……」
「は?」
「川岸の土手で私と専務が話しているのを見て、私が楽しそうにしていたことに嫉妬してあんなことを言ったみたいです」
ぼそぼそと、かろうじて聞き取れるくらいの声で言って黙り込む。
「そっかぁ……」
すると専務はクスクスと肩を揺らした。
もう十年も前のこととはいえ、人の失恋を聞いて笑うなんてひどい。
そう思って、頬をふくらませる。