【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「あー、もう。どうして私は素直に嬉しさを表に出せないんだろう……」
いつも冷静で無表情な彼女が、役員室の扉にもたれかかり、そんなひとりごとをつぶやく。
きっと、役員室の中にいる俺に聞こえているとは思ってもいないんだろうな。
いつも彼女が部屋を出た後聞こえる小さな物音が、彼女が閉まった扉にもたれかかりため息をついている音だと気づいたのは、もう一年以上前。
俺の前ではいつも冷静を装っている彼女が、本当は俺の言動にひどく動揺していて、扉がしまった瞬間、こらえきれずひとりで本音をもらしていると知った時、妙に嬉しくて勝手に口元が緩んだ。
もっと喜ぶ彼女がみたい。もっと驚かせたり、動揺させてみたい。
すっと伸ばした背筋。華奢な肩に、綺麗な髪。軽く顎を引いて話す、美しい立ちふるまいの彼女が、自分の言葉に振り回されて取り乱すのが嬉しかった。
目の前の細いうなじが、赤く染まるのが魅力的だった。
赤くなった頬や潤んだ瞳を必死に隠して、平静を装う彼女が可愛くて仕方がなかった。
こつん、こつん。
まるで心のドアをノックするように繰り返された小さな物音。
その音を聞いているうちに、気づけばすっかり恋に落ちていた。