【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
 



その彼女が、今は、自分の隣で眠っていた。


仕事中の凛とした表情とは違う、無防備で幼い寝顔を見下ろして、思わず頬が緩む。
柔らかく白い頬に触れれば、微かに伏せた睫毛が揺れた。

起きるかな? と様子を伺っていると、またそのまま小さな寝息をたてて眠りに落ちた。

ここに、猫耳が生えてたんだよなぁ。
なんて思いながら、彼女の髪をそっと撫でる。さらさらとした艶のある綺麗な髪が、指の間をこぼれ落ちる。

突然詩乃ちゃんに猫耳と尻尾が生えたことは、今思い出すと夢でもみていたような不思議な気分になる。
あの出来事があったから、今こうやって彼女が自分の腕の中で寝ている。
あの出来事の原因の猫のハチに感謝をしなくちゃなと思う。

長い時間一緒に過ごしてきた愛猫のハチが、不器用で人に素直に思いを伝えるのが苦手な彼女を放っておけなかった気持ちがすごくわかる。

仕事中はとても気が利いて人の気持ちを読み取るのが上手い彼女が、それが自分に向けられる好意になると、いきなり鈍感で臆病になる。

少し思い込みが激しくて、危なっかしくて、寂しがり屋のくせに、その自覚が全くない詩乃ちゃん。

そんな彼女をひとりきりにすることが、不安で仕方なくて取り憑いてでももう少しそばにいてあげたいと思ったんだろう。

 
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