【溺愛注意!】御曹司様はツンデレ秘書とイチャイチャしたい
「わ、私、顔を洗ってきますね」
そう言って洗面所に向かう彼女の後姿を見送りながら、小さく笑ってため息をついた。
こんなに何度も好きだと言っているのに素直に受け入れてくれないところとか、頑なに『専務』としか呼ぼうとしないところとか。
相変わらず、歯がゆくなるくらい鈍感で己評価が低い彼女。
そういう不器用さも可愛いとは思うけど、もう少し俺のことを信じてくれてもいいのにとも思う。
ひとり残されたベッドから体を起こすと、棚の上に置かれたハチの写真と目が合った。
「お前のご主人様は、可愛いけど本当に不器用だね」
なんて話しかけながら写真立てに近づくと、写真の横には見覚えのあるぬいぐるみが飾ってあった。
いつか俺がプレゼントした、新聞社のキャラクター『にゃんだろう君』のぬいぐるみ。
ハチとそっくりの毛並みのぬいぐるみを、約束通りちゃんと大切にしてくれてるんだとわかって、思わず頬が緩む。
白と黒の毛並みのぬいぐるみを手にとって、ふにふにと動かしていると洗面所の方から水音にまじってなにか物音が聞こえてきた。
なんだろう、と不思議に思いながらそっと近づき扉の前に立つ。
すると聞こえてきたのは詩乃ちゃんの小さな声。