【完】うぶな私がイケメンチャラ男と恋するまで


「じゃあ貴方はもう芹澤さんのことなんて…」





その言葉が聞こえて私は咄嗟にその扉を開けていた。





「…!」

「せ、せせ芹澤さん?!」





何も言えずにただ2人の顔を見ると、目を見開いて驚く橋本くんと月星が向かい合わせで私の方を見ていた。



その場の空気が止まって、最初に動き出したのは月星。





「さっきの質問、別にもう何とも思ってねーよ」





そう言いながら歩いて、私の横を過ぎ去る。





「やっぱ俺よりああいうのがタイプだった?
…つか、男使って人の気持ち探ろうとすんなよな」





そう言う月星の目は今まで見たことがないほど冷たかった。

久しぶりにお互いの目が合って話した最初の言葉がこんな…





「あの日、カラオケ行って悪かったな。もう行かねえから」





教室を出た月星が発したその言葉の意味は驚くほど簡単に理解できた。



"出会わなければ良かった"



私が以前彼に言ってしまった言葉。

それに付け加えられた


"もう会うつもりもない"



世界から色がなくなったみたいだ。


気付いたら体の力が抜けてしまっていた。


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