【完】うぶな私がイケメンチャラ男と恋するまで


「芹澤さん!!」

「は、はい!」





珍しく橋本くんが声を張るから私も反応して返事しちゃった…





「僕はこの通り弱々しいし男らしくもありません。
でも…芹澤さんのこと絶対悲しませたりしないし守りたい。だから…」





熱のこもった目で見つめられる。





「だから。
芹澤さんが好きです。僕と付き合ってください、僕に芹澤さんを守らせてください!」





ばっと頭を下げられて私は一瞬何が起こっているのか分からなかった。

色んなことに理解が追いつかないほど混乱している。





「へ、あ、えっと…」





やっと理解が追いついた時、私の頭の中にはもう一つの思いが浮かんだ。


私はまだ完全に月星のことを忘れたわけじゃない。

未だに目を閉じると月星の顔が出てくる時がある。


そんな状態で、私に思いをぶつけてくれている橋本くんと付き合うなんて失礼じゃないのか?





「松下くんのこと…まだ忘れてなくても頭のどこかにいても構いません。
必死かって思われるかもしれないけど、でも少しずつ僕のことを知って、いつか僕のことでいっぱいにさせます」





私の迷いが見えているのか…

橋本くんは私が欲しい時に欲しい言葉をくれる。それにいっぱい助けてもらった。





「でも、何で私なんか…」

「前から芹澤さんのこと気になってました。でも何も出来なくて。そんな時に松下くんが教室に来るようになって一緒にいるところを見てると何とも言えない気持ちになったんです。
こんな傷心に付け入るようなことしたくないって思ってたんですけど…」





正直で真面目な人だ。

これまで色々葛藤して、それでもこんな風に言ってくれてる。





「…こんな私でいいの?」

「はい。芹澤さんじゃなきゃ嫌です」





橋本くんの思いが素直に嬉しくて





「よろしくお願いします…!」





そう言った時には少しだけ涙がたまっていた。





「本当ですか?!やったー…」





橋本くんは本当に嬉しそうな顔をしていて、そんな彼を見た私も幸せな気持ちになった。

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