おはよう、きみが好きです



***

ーージリリリリッ!!

けたたましい音に、あたしはゆっくりとまぶたを持ち上げる。

頭が……まだ眠ってるみたいにボーッとする、すごく体が怠い。


「起き、なきゃ……」


それでも、あたしはある衝動だけで体を起こした。

そう、この胸にある『きみに会いたい』という想い。

なんか、初めて八雲と会う約束をした時みたいだなぁ。


「八雲……八雲に早く、会いたいよ……」


あたしは、ヨタヨタと立ったばかりの赤ん坊みたいに頼りない足取りで立ち上がり、制服に着替える。


そして、リビングにいる家族に挨拶をして、朝ごはんも食べずに外へ出た。


「今座ったら、絶対に寝ちゃいそう……だもん」



あぁ、視界がぐるぐる回ってる……。

でも、行かなきゃ……あたしを、待っててくれてるから。

肩からずり落ちそうになるスクールバッグの取っ手を、もう一度肩にかける。

そして、家の塀に手を付きながら、前へと進む。

なんか、足元フワフワしてきた……。


< 231 / 259 >

この作品をシェア

pagetop