おはよう、きみが好きです
「おいっ、お嬢ちゃん危ないよ!!」
すると、誰に向けたのか……悲鳴が聞こえた。
あたしは、転ばない様に足元を見ていた顔をゆっくりと上げる。
すると……。
――キキィーーッ。
けたたましい音とともに、眩しい光があたしを照らした。
それに、あたしはようやくこっちにバイクが向かってきてるのだと気づいた。
「あっ……あ……」
足がすくんで動かない。
こんな状況なのに、頭もボーッとして……。
会いたい人がいるのに。
あたしを待ってくれてる人が、いるのにっ。
「逃げ、なきゃ……」
だけど、体は自分の物じゃないみたいに動かない。
助けて……誰か、助けてっ。
ただ、バイクのライトの光だけが視界を占領していくのが怖かった。
目に涙が滲んで、ギュッと目をつぶったその時。
「泪ーーっ!!」
声が……聞こえた気がした。
その瞬間、あたしの体は何かに包まれる。
そのすぐ後に、物凄い衝撃が襲って、地面に転がった。
――ガクンッ。
「うっ……」
地面にぶつかった衝撃で、一瞬意識が飛びそうになる。
体に、ズキリと鈍い痛みが走った。