おはよう、きみが好きです
「うぅ……っ」
すると、すぐそばでうめき声が聞こえた。
そして、しだいに感じる体を包む温もり。
一体、これは……。
何がどうなったんだろう。
まだ、頭が混乱してる……何も、考えられない。
「る、泪……」
「……え……」
この声……この声、まさかっ。
聞こえるはずのない声。
いるはずのない人の温もり。
覚えのある……甘い香水の匂い。
だんだんハッキリしてくる意識に、あたしは震えた。
「嘘……だよ……」
まさか、どうしてここにきみが……。
恐る恐る顔を上げれば、信じられない光景がそこにはあった。
「泪……怪我、してねー……か?」
「やく……も……?」
あたしを抱き抱えて、一緒に地面に転がっていたのは、八雲だった。
腰に回る腕には力が無く、額からも血が流れてる。
頭の中に、『どうして』、『なんで』の嵐が吹き荒れる。
理解できない、理解なんてしたくない。
あたしのせいで、八雲が……こんな怪我をしただなんてっ。