おはよう、きみが好きです
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『ごめんな、泪』
真っ暗な闇の中で、声が聞こえる。
この声、すぐに分かるよ……。
だって、この声はあたしの大好きな人の声だ。
「八雲……」
どうして、ごめんなんて言うの。
まるで、別れの言葉みたいに聞こえるからやめてよ。
「あぁ……」
もしかして、あたしが八雲にサヨナラって言った時も、こんな風に……。
胸がズキズキして、体から力が抜けていくような、そんな絶望感を、八雲も感じていたのかな。
『約束、守るって言ったのにな……』
「やめて……」
八雲、守ってくれるって言ったじゃん。
だからあたしは、何があってもきみに会いに行くって決めたのに。
八雲だって、ずっと待っててくれるって言ったじゃん!!
『もう俺、行かなきゃ……』
「行かなきゃって、どこに行くの!?」
『ごめんな、ひとりにして……。本当は、ずっとそばに……』
八雲の声が、遠くなっていく。
やめて、この人を連れていかないで。
もう2度と、八雲に会えなくなるような気がして……。