おはよう、きみが好きです



『泪の今の顔、当てようか?』


「結構です!!」



電話ごしに、クスクス笑ってるのが聞こえる。

本当に、人のことからかって……。

でも、いつもならここでブチ切りする電話も、なぜか今しようとは思わない。

あたし、こんなことを思うのは、つき合い浅いくせに変だって思われるかもしれないけど……。



出会って、たった数日。


それでも、八雲のことを考えるとドキドキして、不意に見せる優しさにほんわかする。


そんな八雲に……会いたくて、会えない時間は電話でもいいから繋がっていたいって思うんだ。



「ねぇ、八雲」

『うん?』

「……あたし、八雲のことバカとか、可愛くないことばっかり言うけどね」


『おー、確かにえげつないぞアンタ』


……ここでふざける?普通。



「も、もう!!ちゃんと聞いてよ!」


『はいはい、ごめんって』


笑いながら楽しそうにしてる八雲に、あたしもなんだか笑ってしまう。

うん、今なら素直に言える気がする。



「あのね、八雲とする毎日の電話が……すっごく楽しいんだよ」


『…………』


「だから、続いたら嬉しいなって……」



この気持ちって、いわゆる『恋』……というやつでは?

でも、恋するまでの期間も短いし、そんな『恋』があるなんて今でも信じられないけど……。


友達と言うには軽すぎるし、親友とは少し違う気もする。


だったら、残るのは……たったひとりの男の子に向ける……好きって気持ちだよね。



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