マ王の花嫁 
「おまえとドレンテルト王は全然似ていない。顔立ちと言った事ではなく―――顔立ちも似ているとは思わなかったが―――思想や志、そういった内面的なものが、おまえとドレンテルト王は全然違う。おまえが純粋で真っ直ぐな心を持っているのも、育った環境の賜物だろう。察するに、おまえの亡き母上と、おまえの言う育ての父親・フィリップ翁も、そういう人物なのだろうな」
「はい。母が亡くなった時、私は5歳でした。リアージュ公爵の館で8歳と言ったのは、ドレンテルト王の妻だった、亡きアナベラ王妃様の事です。母がどうやって亡くなったのか、その時の記憶は曖昧で・・・。ただ覚えているのは、母様が突然いなくなってしまった事だけ。母様の存在は、いなくなってからも、時折何となく感じてはいたけれど・・・。それから、母の知り合いだというフィリップが来て、私を引き取ってくれて。フィリップが住んでいた山奥にある小屋で、二人一緒に暮らし始めました。フィリップは私に、たくさんの愛情を私に与えてくれました。おかげで私は、寂しさを感じる事は、あまりありませんでした」
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