マ王の花嫁 
「恐らく・・・。その頃からワシは、自国の平和のために、他国の民を犠牲にするというサンドロス国王の考え方に疑問を抱くようになった。ワシは一体、何のために戦っておるのか。民が平穏無事に暮らす為と言われながら、肝心の民はちっとも幸せそうには見えん上、実際そこで暮らす民を手にかける事もある。本当の平穏無事の意味がワシには分からんかったが、少なくとも、それはワシの思う“平穏無事”ではないという事くらいは、愚かなワシでも分かった。それでつくづく嫌気がさしたワシは近衛兵を辞め、山奥の小屋で独りひっそりと暮らし始めた」
「フィリップは、アッセンに・・攻め入った時に母様と知り合ったの?」
「いや。それから数年後の事じゃ。当時のフローリアン王子が、どこぞやの娘と逢瀬を重ねておる故、それが誰なのかつき止めよと、サンドロス王から命を受けてな。身分の違いから、二人が結ばれる事はないと、最初から皆分かっておった。じゃが、その当時の二人は愛し合っておったとワシは信じておる。少なくとも、アンナマリア様は、フローリアン王子の事を心から慕っておった。だからワシは、サンドロス王にはアンナマリア様の事を報告せず、陰ながら二人の逢瀬に協力をしていた。なのに・・・フローリアン王子が婚姻する事になり・・・」

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