ハイスペックイケメンなんてお呼びじゃない!~バツイチナースは恋に無関心~
婦人科の看護師と一緒に隣に行く。

そこには内海さんと男の人が診察室前に居た。


『ホントに産まれちゃうんですか?』

男の人が看護師にそう聞くと

『医師やこれから助産師が診ますが多分こちらで出産になります。救急車を待てるような状態ではありません。
そして、出産後に救急車で母子共に移動になるかと思いますので。』


『分かりました。』


『ったく、話し合いにならなかったじゃないか。』


この発言で何となく分かった。
この産まれそうな状況でこの態度。
この妊婦さんは私と似たような環境だったのだろう。

私はホントの出産直前だけど、これはストレスも充分原因に当たりそうだ。


『今から医師と共に診察、分娩にあたります助産師の小林です。
とりあえず黙って待っててくださいね。
妊婦が叫んでも喚いてもあなたは絶対に立ち入らないでください。
立ち入ってもやる事無いですから。』

そう内海さんの隣の男性に釘をさした。


『はぁ、分かりました。』
何とも間の抜けた返事である。


そうして更衣室を借りて髪をしっかり帽子に入れてマスクをして、手も綺麗にした上でゴム手袋着用して、それも更に消毒。


そうして準備して診察室の妊婦さんの元へ行く。

『先生、赤ちゃんの推定体重は?』

『ちょっと大きめで見積もっても1800あれば良いかなという状態だな。』

今は婦人科しか見ていないけど、この婦人科先生は年配になったから産科を扱わないだけで昔は何人も取り上げていたベテラン医師である。

『子宮口は?』

『こちらに来た時点で7センチだ』

『私も診させて貰いますね』

『あぁ、頼むよ』


ふぅーー。

久しぶりのお産。
しかも早産。


お母さんも不安だろう。

とにかく母子の安全な出産のために全力を注ぐ。

『〇〇さん、助産師の小林です。あ、今痛いかな?うん、痛いね、はいしっかり口で息吸って、ゆっくり鼻から吐いてね!』

『そう、上手よ!この痛みが落ち着いたら子宮口確認しますからね!うん、痛いね、ちょっと失礼して押すよ。』

痛みの波の間お尻の付け根をグリグリ押す

[はぁ、はぁ、あ、少し楽です。]

押してあげるとそう、答えてくれた。
突然でビックリしてるだろうけど妊婦さんは体力はありそうだ。
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