俺が愛した、あおいの話
「さやかさんが来てくれますよって、言ったんですけど、分かってたかなぁー?なんかもうすごい酔っぱらってて…。あんな和也さん初めて見ました」

「和也がそんなに酔うなんて、、、わたしだって見たことないわ」

和也はいつでも完璧だった。
お酒の席でも毅然としてた。

面倒かけられることはあっても、かけてる姿は見たことなかった。

普段の和也もそういう感じで、何でも卒なくこなすタイプで、頭は切れるし運動もできる。仕事もみるみる出世している。

それに加えてあの身長で、それに加えてあの顔面だ。

小さい頃からあらゆる女性を無意識に虜にしてきた。

そんな和也が泥酔だなんて、聞いた時には驚いていた。

大袈裟すぎると疑っていたし、今でも正直実感湧かない。

「帰宅できたなら良かったわ。それじゃあ、わたしは用済みね」

そう言いながら去ろうとした時に、
「さやかさんっ!」呼び止められた。

「蒼井望さん…ご存知ですよね?その人の話してたんですよぉー。だから飲み過ぎちゃったんですかね?意外と照れ屋さんですね」

「和也があなたに、、、蒼井の話を?」

「そうです!まぁ、まだ途中ですけど。中途半端に聞いちゃったんで、気になって眠れないですよぉー」

和也がこの子に蒼井の話を?
どうして突然、なんで今さら、、、

今すぐ聞きたい気持ちを堪えて、
時間あるの?と彼女に訊いた。

「はいっ!」
「ちょっと今から付き合わない?」
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