花束〜Bouquet〜【短編】
そして、現在に至る。
仕事の割には給料の安い肉体労働だったが、一応定職に就くことができた。
彼女も変わらずOLを続けている。
経済的にも“寿退社”なんて格好いいものは、まだ当分させてやれそうもない。
それに、まだ遊びたい盛りの若い俺たちには、まだそれは早すぎると思っていたのだ。
彼女も結婚については、一切触れてはこなかった。
彼女は、したいと思っているんだろうか?
考えてみたはいいが、もちろん答えなど出なかった。
ところで俺は、プロポーズどころか「好き」とさえまだ言えずにいた。