花束〜Bouquet〜【短編】
「あっ、あの‥。いつもここで貴方の歌を聴いてて、凄くいい曲だなって。それで、あの‥よかったらお友だちになれないかなって思って‥」
幼い子供のようにあたふたしながら、脈絡のないことを言ってくる彼女に思わず吹き出してしまった。
彼女は俺が笑ったことで、恥ずかしげに俯いてしまった。
俺はただ彼女の慌てっぷりがあまりにも可愛くて微笑ましくなっただけ。
でも、彼女はそうはとらずばかにされたと思ったらしい。
弁解するにも寡言な俺には、すぐにいい言葉が浮かばなかった。
二人の間に少し気まずい空気が流れてしまった。
「…あ、あの俺でよければ」