花束〜Bouquet〜【短編】

いつしか恋人同士のように一緒にいる時間が増えた。

口下手で女の扱いが苦手な俺は、はっきりと言葉にすることはなかった。

彼女が俺に好意を持っていてくれてる、のは自惚れなんかじゃないと思う。

「好きだよ」
「付き合おう」

そうわかってはいても、この短い言葉を口に出すことに妙な照れと抵抗があった。

それに、大人になるほど素直な言葉は言葉にして伝えるのは難しいと俺は思う。

「蒼太さん、私と付き合ってくれませんか?」

2か月ほど経った頃、彼女はそう言った。

男の俺から言わなければいけない台詞を、彼女に言わせてしまった。

こんな情けないどうしようもない俺を、君はなぜ好きになってくれたんだろうか?



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