最後の恋
私の様子に、彼は何かを感じ取ったのかそうではないのか分からないけど更にこう付け加えた。


「いや、ただ以前からの知り合いなのかと思って。今回の人事も専務の希望だったと聞いたから。」


室長のその言葉に少しだけ救われ、胸を撫で下ろす。


特別な関係に気づかれてわけじゃなかった?!


だから、この事実だけは話すことにした。


下手に誤魔化しても余計に変な疑いをかけられてしまうと思ったから。


「実は…専務とは高校のクラスメイトだったんです。だから再会した時は驚きました。高校の卒業以来だったので。」

「え…クラスメイト?そういえば松野さんと専務は同じ歳だったもんな。そっか…だから専務は松野さんを指名したのか。」


室長は、納得したようにそう言った。


指名って…一ノ瀬君が私を自分の秘書に指名したってこと?


今度こそ彼への思いを封印しなきゃいけないのに、そんな話を聞いてしまうとやっぱり嬉しくて気持ちがぐらついてしまう。
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