最後の恋
オフィスを出るとき彼はまだ仕事が残っているのか部屋にいたけど、それはただ紫乃が来るのを待っていたのだろうか?


婚約者だし…当たり前か…。


だけど、ここには私がいる。


待ち合わせなら私の目に入らない所でしてほしかった。


暫くして女性トイレから出てあたりを伺うと既に紫乃の姿はどこにも見えなかった。


駅に着くとロッカーに預けていた荷物を取り出し家に帰った。


3日ぶりの我が家。


まだここに住み始めてそんなに経っていないけど、今の私には一番心が休まる場所だった。


晩御飯を食べて、ただぼんやりとしていたその時、着信がなった。


どこかで期待している自分がいるのだろう…心臓が大きく震える。


だけどすぐに会社まで彼に会いに来ていた紫乃の姿を思い出し、かすかな期待は脆くも砕け散る。


誰…?そう思って手にしたスマホの画面に表示されたその名前は…


今はまだ見るのも辛い名前だった。
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