溺愛御曹司は仮りそめ婚約者
「なんで、なんで。いつの間にそんなことになってるの? 」
「半月前、かなぁ。部長、課長、社長……つまりうちの親父ね。そこまで話は通ってるから。あ、来週の休みは俺の実家に行くよ。その次の週には、親と実家に挨拶に行くね」
「あ、挨拶って。どこまで、どういう話をしてあるの!?」
「大丈夫だよ。ちゃんと事情は話をしてあるから。チームのみんなにはパンフレットの撮影としか話してないし。仕事も絡んでるんだから、嫌なんて言えないでしょ?」
出た、にっこり笑顔。絶対、ロクでもないこと考えてる。
「逃がさないって、言ったよね。俺は俺のやり方で、沙奈が逃げられないように外堀を埋めておくから」
彼の腕が、腰に回る。その腕に囲われて、逃げようとするとさらにきつく引き寄せられて間近で瞳を覗き込まれる。
その瞳が楽しげに弧を描いているのを見て、ムッと唇を尖らせたところにチュッと軽くキスをされた。
「蜘蛛の糸くらいじゃ、生温いよね。ギチギチに固めて、一ミリの隙間もないくらい完璧に逃げ道を塞いであげるから」
ふふっと笑った彼の言葉に、ゾクリとする。やっぱり外堀、埋められてたんだ。
一ミリの隙間もないくらい完璧にって、怖すぎる。
ブルリと震えてしまった私の顔中にキスの雨が降ってくる。耳から首すじを唇でなでられて、ビクンと体が揺れた。