溺愛御曹司は仮りそめ婚約者


「あっ、くすぐった……」

「かわいい、俺の沙奈。どうせ逃げられないんだから、さっさと俺のものになっちゃえばいいのに」

なんか、すごいことを言われてる気がする。だが、そんなこと言われても、まだ自分の中で過去の出来事も、今起こっていることも消化できていない。

そういえば、大事なことを聞いていなかった。話したんだから、私の疑問にも答えてもらわねば。

「どうして、私なの? 東吾なら綺麗どころを選びたい放題の入れ食い状態でしょ? だいたい、いつから私のこと……その、す……き、なの?」

自分からこういうこと聞くのって、自意識過剰みたいですごく恥ずかしい。これで別に好きじゃないから、なんて言われたら痛すぎて泣ける。

ビクビクと答えを待つ私を見て、彼は感心したように数回うなずいた。

「なんだ、よかった。そこはわかってくれてるんだ。ちょっと安心したよ。しかし、入れ食いって……。本当に俺のことなんだと思ってるんだ。まあ、それは置いといて。沙奈が話してくれたから、俺も答えなきゃね。沙奈のこと、実は入社前から知ってたんだよね」

「えぇ? 入社前?」

意外すぎる事実に、目を見開く。必死に記憶を辿ってみても、思い当たる節がない。

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