溺愛御曹司は仮りそめ婚約者
「私の実家、茨城なんですけど。まさか試験を受けてみたものの、桐島フーズに受かるとは思ってなくて。祖父をひとりにするのも心配だったので、実家に残るつもりだったんです。それで、内定をお断りしようとしたときに背中を押してくれたのが祖父で。今回のプロジェクトに選ばれたって言ったときもすごく喜んでくれました。もしかしたら、ご迷惑をおかけするかもしれませんけど、精一杯がんばります」
本当は、出来る限りじいちゃんのそばにいたい。でも、きっとじいちゃんはそれを望まないし、許さない。
そんなことをしたら、じいちゃんが悲しむから、仕事もがんばる。そうしたらきっと、「沙奈は、かんかだな」って、喜んでくれる。
「うん、わかった。俺としても、チームに浅田さんは必要な人材だと思ってるから、出来る限りのフォローをするよ。上には、俺から話しておくから」
「あ、ありがとうございます。課長には私からも報告しておきますので」
ああ、よかった。なんか少し心が軽くなったかも……って、ならないし。
結局、『結婚を前提にしたお付き合いをしている彼氏』のことはなにひとつ解決してないじゃん。
「どうしたの? まだ心配事?」
美味しい食事を食べながらも、つい浮かない顔でため息をついてしまった私に気づいた桐島主任が心配そうな顔で見つめてくる。