溺愛御曹司は仮りそめ婚約者


「次の土曜日は衣装合わせだから。時間がないから一日で決めてもらわないといけないのは申し訳ない。でも沙奈のドレス姿は、とても楽しみだな。じゃあ、そろそろ行こう行こうか」


立ち上がった主任に続いて、私も立ち上がる。



森田ウェディングは、お昼を食べたお店から車で二十分ほどのところにあった。

主任の隣でロビーに飾られたウェディングドレスやタキシードを眺めていると、担当者と思われる人が出迎えに出てきた。

黒いスーツに身を包んだ若い女の人。目鼻立ちのはっきりとした、迫力のある美人さんだ。

その人は主任を見て、うれしそうに顔を綻ばせた。

「久しぶりね、東吾」

にこやかなその人とは、対照的に主任は不愉快そうに眉をひそめる。

「ビジネスの場で、名前を呼ぶのはどうかと思いますが。それに以前、もう名前で呼ぶなとお話したはずです。どうしてここにあなたが?」

「相変わらず、冷たいのね。ちょっと顔を見にきただけよ。そちらが、東吾のお相手?」

値踏みするような視線を向けられて、ビクリと身体が跳ねる。名前で呼んでいたし、もしかして主任と親しいのだろうか。

「今日は仕事の話をしに来たのですが、担当は森田さんではありませんよね?」

冷たい口調でそう言った主任の言葉に、その人はふっと微笑んだ。

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