溺愛御曹司は仮りそめ婚約者


「では、お色直しに行きましょう。新婦様はこちらへ」

介添人さんに促されて、主任の腕を離す。どうしてだかわからないが、彼と離れることが不安で、すがるようにその顔を見上げる。

「沙奈……その顔はやばい。反則だ」

なにが、やばい?

困ったような顔をした彼が、首を傾げた私の頰にチュッとキスをする。

「さっきの続きは、夜にまた。じゃあ、あとでね。俺のかわいい花嫁さん」

照れたように微笑んで、もう一度頰にキスをした主任が私から離れていく。

な、なにがやばいだ。私のほうがやばい。笑顔ひとつでこんなにドキドキさせられるなんて、なんだかずるい。

「新婦様、愛されてますね。新郎様、一時も目を離したくないみたいで。式中もずっと新婦様のこと見つめていましたものね」

介添人さんの言葉に、さらにドキドキが加速する。もう、反則はどっちだ。

夜に、彼の答えを聞いたら……私の気持ちを、きちんと彼に伝えよう。好きな気持ちも、不安な気持ちも全部。

彼ならきっと、受け止めてくれる。そう決めて、介添人さんに声をかける。

「行きましょう。支度の方、よろしくお願いします」

胸のドキドキが治らないまま控え室に入り、ベールを外してウェディングドレスを脱ぐ。

カラードレスは、ピンク色のドレスにカラフルな小花が散ったとてもかわいらしいドレスだ。

一目見て気に入ったものの、かわいらしすぎるかと迷っていたところを、担当の人に似合うとおだてられて即決したドレス。

チュールを重ね合わせた軽やかな素材のドレスは、ガーデンにもよく映えそうだ。

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