溺愛御曹司は仮りそめ婚約者
「……っ、あ、とう……ご、東吾」
熱に浮かされたように彼の名前を呼ぶ私を、力強い腕がきつく抱きしめる。
一ミリの隙間もないくらいくっつくと、彼と本当にひとつになったような気がした。それがうれしくて、幸せで、痛みよりもその気持ちが勝って不思議な満足感が全身を包む。
「沙奈、大丈夫?」
呼吸の乱れた東吾に聞かれて、コクコクとうなずく。心配そうな顔に、安心してほしくて微笑むと東吾の眉間にシワが寄った。
「これは、沙奈が悪い」
「え? な……んんっ」
なぜ、そんな顔をされるのか。なにかまずいことを言ったのかと不安になる私の唇を東吾が乱暴に塞ぐ。
そのまま動き始めた彼に置いていかれないように、汗ばんだ背中に必死にしがみついた。
「沙奈、好き。好きだ、愛してる」
「わ、た……と、んっ、あっ」
キスの合間にささやかれる言葉に、答えようとしても彼の唇に飲み込まれてしまい、それが音になることはなかった。
✳︎ ✳︎ ✳︎
なにかが首筋をなでて、胸元へ滑り落ちていく。さらにお腹へ……。
それがくすぐったくて寝返りを打とうとすると、なにかに阻まれて身体が動かない。
え、なにこれ、金縛り?
ひとりパニックになっていると、額に柔らかくてあたたかいなにかが触れる。
「……ん」
小さく声を漏らして目を開くと、穏やかな笑顔を浮かべた東吾がかなりの至近距離にいて驚いて目を見開く。