溺愛御曹司は仮りそめ婚約者
「起きた? おはよ。身体は大丈夫?」
「……おはよ。て、ええ!? 東吾が私よりに先に起きてる!?」
寝坊したのかと、慌てて起き上がり枕元の時計を見る。
……あれ、まだ六時前だ。
もしかして夢なのかと頰をつねってみると、痛い。カーテンの隙間から外を見ても、特に異変はない。
「ひどいな、期待してた反応と違う。夢でもないし、槍も降ってないから」
だって、東吾が自力で早起きをするなんてありえない。あ、もしかして……。
不服そうに唇を尖らせる東吾の頰に手を伸ばし、じっと顔を覗き込む。まさか、寝てないとか?
「ずっと起きてたわけでもないし。ちゃんと寝たよ。にしても、沙奈。意外と大胆だね。昨日はあんなに恥ずかしがってたのに。もしかして、誘ってる?」
「へ?」
東吾の人差し指が、鎖骨から胸の真ん中をなでる。その指を目で追っていくと、なにも身につけていない自分の身体が目に入った。
「きゃあっ!」
慌てて布団の中にもぐると、クスクスと楽しそうに笑う東吾の声が聞こえてくる。
否応なしに昨夜の記憶が甦って、かあっと身体が熱くなった。
東吾は、普段の冷静さが嘘のように情熱的に私を抱いた。
何度もキスをされて、“かわいい”と“愛してる”を繰り返しささやかれた。それに私は、うまく答えられなくて言葉にならない甘い声を漏らすばかり。