溺愛御曹司は仮りそめ婚約者
いつ眠ったのかさえ、覚えていない。これで、東吾を満足させられたのかが不安になって布団をずらして赤くなっているであろう顔を出す。
「そう、そう。その顔が見たくて、死ぬ気で早起きした。かわいい」
起きられるなら、いつも死ぬ気で起きてほしいと思いながら、満足そうな彼のことを見上げる。
「あの……おいしかった?」
私の質問に、東吾は真顔になって固まった。あれ、なんか間違ったのかも。
「や、やっぱりなんでもない」
その反応に恥ずかしくなって、布団の中に隠れようとした私を、東吾がぐっと引き寄せる。
「なに、それ。誘ってるとしか思えない。めちゃくちゃおいしくて、おかわりしたかったくらいなんだけど。させてくれるの?」
「お、おかわりって……。でも、ほら。仕事に行かないと」
「ああ、それなら有休とってるから。大丈夫だよ」
「え? 有休?」
「お披露目会のあと、沙奈のこと抱くつもりだったけど、逃げられることも想定してたから。俺は、レストランのほうが心配だから半休で午後から出勤するけど、沙奈はゆっくりしてて。身体、辛いでしょ?」
なに、それ。そりゃ、慣れないことをしたせいか、足が筋肉痛のようになっているけど。用意周到すぎて怖い。
やっぱり東吾って、策士だ。