溺愛御曹司は仮りそめ婚約者


「もう待てなかったし、どうしても昨日がよかったから。どんな手を使っても入籍するつもりだった。でも、おじいちゃんとはいえ、他の男に抱きついて告白されたのは複雑でしたね」

「ご、ごめんて」

「まあ、こうして晴れて夫婦になれたわけだからいいけど。しかし、あの神社のご利益はすごいな。今度、お礼にいかないと」

「へ?」

なんのことだと首を傾げる私に、東吾は携帯を操作してそれを私に差し出した。

「あ、これ……」

それは、じいちゃんと三人で旅行に行ったときに寄った神社で書いた絵馬の写真。

その神社に『縁結びの木』というのがあった。枝に絵馬を結びつけると願いが叶うといわれているらしく、せっかくだからと三人で絵馬を書いてきた。

「い、いつの間に……」

「うれしかったな、これ見たとき」

私が書いたのは、『東吾が幸せになりますように』。

それからーー。

「『東吾と、ずっと一緒にいたい』。かなり小さい字で書いてあるのに、神様はちゃんと読めたみたいだね」

だって、絵馬になら本当の願いごとを書いても許されるかなと思っちゃったんだもん。

まさか、本人に見られているなんて。気恥ずかしくて、かあっと顔が熱くなる。

「沙奈も俺と同じ気持ちでいてくれてるんだって、すごくうれしかった。俺は、『沙奈を幸せにする』って書いた」

「うん? お願いというより、宣言?」

「神様に頼らなくても、沙奈のことは俺自身が幸せにするから。だから、決意表明かな」

きっぱりと言い切る東吾を、かっこいいなと思う。ああ、幸せだな。こんな素敵な人と結婚できて、すごく幸せだ。

< 194 / 208 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop