溺愛御曹司は仮りそめ婚約者
おかしな話かもしれないが、結婚してからのほうがずっと東吾のことを好きになっている。
彼が私のことをとても大切にしてくれるから、私も彼のためにできることはなんでもしたい。
とりあえず、今できることはおいしいご飯を作って旦那さんの帰りを待つことだ。
看護師さんに挨拶をして病院の外に出ると、だいぶ陽が傾いていた。
さあ、今日の夕飯はなににしよう。冷蔵庫の中の食材を思い出しながら、家路に着こうと歩き出した。
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夕飯を作り終えて、ソファでまったりしながら寛いでいると、ガチャリと鍵の開く音がした。
「あ、帰ってきた」
よいしょ、とソファから立ち上がって、玄関に向かおうとしたところでリビングの扉が開く。
「おかえりなさい。ごめんなさい、出迎えに出れなくて」
「ただいま。いいよ、そんなの気にしないで」
柔らかい笑みを浮かべた東吾が、私の腰に手を回して抱きしめてくれる。私も背中に手を回そうとするのだが、膨らんだお腹が邪魔をして届かない。