溺愛御曹司は仮りそめ婚約者
わかってはいるのだが、ついクセでそうしてしまいいつも東吾に笑われる。
「悲しそうな顔して、かわいい。沙奈、着替え手伝って」
今日もクスリと小さく笑われて、寝室に着替えに向かう東吾にくっついていく。
「はい、お願いします」
ネクタイの結び目を少し緩めた東吾が、私の腰に手を回す。朝、私が選んで結んだそれに手をかけると、頭のてっぺんににチュッとキスが落ちてくる。
結婚をしてから、東吾の甘え方が前にも増してすごくなった。
妊娠がわかってからは特に。この着替えの手伝いも、妊娠がわかってからするようになった。
「沙奈をひとり占めできるあいだは、めいいっぱい甘えさせて」と言われれば、私もやぶさかではないので言われるがままにしている。
「病院、どうだった?」
「うん、特に問題なく順調だって」
「そう、よかった」
額や頰にキスを受けながら、ワイシャツのボタンを一個ずつ外していく。最初は恥ずかしさもありうまくできなくて時間がかかっていたが、最近は慣れたものだ。
それにしても、なんで東吾は突き出たお腹をもろともせずに手が届くのか。腰から背中をなでている東吾の手を感じながら、心の中で唸り声をあげる。
認めたくはないが、私が届かないのは、腕が短いからですか。いや、東吾が長すぎるんだ、きっと。