溺愛御曹司は仮りそめ婚約者
「俺はさ、いくら同期でも沙奈たちとは違うだろ? それも仕方ないと思ってた。どうしたって、社長の息子っていう目で見られるし、そんなの覚悟してたんだけどね。ちょっと、寂しかったのかも」
こてっと私の肩に頭を乗せる主任の背中に、そっと手を回す。こんなことをしていいのかな、と思いながら頭をなでてみた。指に触れる髪は、思いのほか柔らかい。
「ん、それ気持ちいい。なんか、沙奈といると癒されるな……」
うう、やばい。ちょっとキュンキュンしちゃう。仕事のときとのギャップがありすぎでしょ。
この人に恋するなんてありえないと思ってたけど、その考えは改めないといけないかもしれない。
気を引き締めなければ……あ、れ?
なんかちょっと、重みが……。その重みに耐えきれず、だんだん身体が後ろに傾いていく。あっと思ったときにはソファに押し倒されていて、身体に他人の重みを感じる。
「沙奈……」
耳元で名前を囁かれて、身体がビクッと震えた。すりすりと頰を擦りよせてくる主任に、私の身体は再び石のように固まった。
え、な、なに!? なにが起こってるの? なんでこんな体勢に!?
どうしていいかのわからずに、頭はパニック、身体は石になっている私の顔を見て、主任はぷっと吹き出した。
身体を震わせて笑っている姿に、やっとからかわれていたことに気づく。