溺愛御曹司は仮りそめ婚約者
初めて実家を訪れてからというもの、主任の私への態度が明らかに変わった。
なんというか……。すごく甘えてくるようになって、まるで本当の恋人のように接してくる。
毎朝、一緒に朝ごはんを食べて、スーツに着替えている主任を残して先に彼の家を出る。
主任は一緒に行きたいみたいだけど、無理無理。
一緒に出勤しているところなんて見られたら、どんな噂をたてられるか。
こんな感じで、この一ヶ月、私はほとんど主任の家から会社に通っている。
これも、報酬のキスのため。そりゃ、人目のあるところでするわけにはいきませんけどね。
「キスは毎日したい。仕事の疲れがキスで癒されるから」
なんて、まさか毎日要求されるとは思いませんでしたよ。それでも私は、お泊まりなんてする気なんてサラサラなかった。
だが、主任が私をなかなか離してくれず、散々キスをされ、もう遅いから泊まっていってと無理やりベッドに引きずり込まれる。
これが一週間続いた頃に、私は自分の家に帰ることを諦めた。
そんな状態だから、主任の家には、自然と私の私物が増えた。
そして、彼の食生活があまりにも適当なことを知り、食事の世話までするようになってしまった。
物の少なかったキッチンには、私が持ち込んだ調理器具がかなり増えた。ばあちゃんから受け継いだぬか床まで持ってきちゃいましたよ。
ばあちゃんの形見だと思っているぬか床は生きているから、日々の手入れが大切なのだ。