溺愛御曹司は仮りそめ婚約者
「さっきの“がんばって”で、すごいやる気でたし。私って、なんて安い女なんだろ」
はあっとため息をついて、立ち上がる。そろそろ私も戻らなければ。
主任が言っていた通り、これから開発部との会議がある。
新規事業であるレストランのオープンが三ヶ月後に迫り、私は今までにないくらい多忙な日々を送っている。
メニューの構成も決まり、現在開発部と共同で実際にお客様にお出しする商品を開発中だ。
プロジェクトリーダーである主任はさらに多忙で、一日中外回りで会社にいない日も多い。
「戻ったら主任にメールしよ」
私のメールでなんて、主任はきっとやる気は出ないだろう。だけど、さっき言いそびれてしまったから。どうしても伝えたい。
自分のデスクに戻り、メールのチェックと会議に必要な書類の準備をする。
それからメールを作成して、送信ボタンを押した。
『夕飯を作って待ってますので、主任もがんばってください』
送ってから、まるで新妻のようだと恥ずかしくなったが、送ってしまったものは仕方がない。
私は赤くなってしまった頰を叩いてから、主任がくれたやる気と資料を持って会議に向かった。