溺愛御曹司は仮りそめ婚約者

売っていた玉こんにゃくを、じいちゃんが買ってくれた。今度は落とすなよって主任とじいちゃんにからかわれて、ふてくされた顔で玉こんにゃくを頬張っている私の写真もある。

休憩に寄った無料の足湯では、足湯というものの存在を知らないじいちゃんが服を脱ごうとしていて焦った。

照れくさそうに服のボタンを止めているじいちゃん。それを見て口を開けて大笑いしている主任の写真もある。彼のファンなら飛びつくであろうレアな写真だ。

それから、足湯に入りながら三人で笑っている写真。

あと、どのくらいこうして三人で過ごせるのだろうか。

最近、腰が痛いと辛そうにしているじいちゃん。心配で病院にかかりに行ったら、癌の末期の症状だと告げられた。

今後、痛みが強くなったときには入院になり、恐らくもう自宅に戻ることはできないだろうと。

病魔は、確実にじいちゃんの身体を蝕んでいる。

“最期”を、考えたくはない。だが、人の命に永遠はない。願う、願わないは関係なく、その日はすべての人に訪れる。

ひとりで生きていくことなんて、とっくに覚悟していたのに。どうしてこんなに怖いのだろう。

「こんな契約、しなければよかった」

そうすれば、知ることはなかったのに。あの人のあたたかさも、心地よさも、知らなければこんな気持ちにはならなかっただろう。

それを知ってしまった今、私はひとりになることがとても怖い。じいちゃんと一緒に、彼を失うことがとても辛い。

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