溺愛御曹司は仮りそめ婚約者
私がお風呂から出ると、すぐに夕飯の時間になった。部屋の大きなテーブルに、豪勢な料理が並べられていく。
普段の食生活はだいぶ適当な主任だが、時々連れて行ってくれるお店はどこも非常においしい。
だからきっと、ここの宿の料理もとてもおいしいに違いない。ああ、すごくお腹が空いてきた。
三人で来ているから、お膳は二対一で並べられている。まあ、普通は私と主任が並んで、じいちゃんが向かいにひとりで座るんだろうなと思う。
でも、今は彼からなるべく距離をとっていたい。
「ねえ、じいちゃん。私、じいちゃんの隣に座りたい」
「なんだ、沙奈。東吾くんと座ったらいいべ」
「じいちゃんとがいいの」
じいちゃんの浴衣の袖を引っ張っている私を見て、主任は軽く目を見開いてから口の端を上げた。
「僕はこっちでいいですよ。僕とおじいちゃんがあまりにも仲がいいから、沙奈はヤキモチを妬いてるんですよ」
遠慮するじいちゃんにニッコリと笑って向かいの席に座った主任は、微妙に図星を突かれてムッとする私を見て目を細めた。