どんな君でも、愛おしくてたまらない。
漂う静寂を切ったのは、葉上先生だった。
『莉子ちゃん、落ち着いて聞いてほしい』
『葉上、先生?』
どうか、どうか、
頭に浮かんだ最悪なものとは
正反対の真実を、教えて。
『莉子ちゃんたちは、山の途中で雪崩に遭ったんだ』
じゃあ、あの重厚な音は、山に降り積もった雪が崩れる音だったんだ。
雪崩が、わたしたちが乗っていた車を巻き込んで、……それで?
それで、どうなったの?
『雪崩がおさまって、発見したときにはもう……』
この言い方じゃ、まるで。
葉上先生はひと呼吸置いて、わたしと目を合わせて伝えた。
『ご両親は、亡くなっていた』
知りたくなかった最悪な真実が、耳の奥でこだまする。