溺愛執事に花嫁教育をされてしまいそうです
「……もう咲いているんだって、
きっと、この花、
今年初めて咲いたんじゃないかな。
そう思ってのぞき込んでしまったせいで、
貴女が転んでしまったみたいですけど……」
ありすが手のひらを開くと、
そこにあったのは。
「……シロツメグサ?」
それは小さな頃、よくありすがここで、
花冠を作っていた愛らしい花だった。
「ええ。可愛いシロツメグサに気付いた
次の瞬間、ありすさんが倒れ込んで来たんです。
なんだか……」
ふっと声を低めて、ありすの方に屈みこみ、
「──運命みたいですね」
耳元で甘く囁く。
「……運命……?」
その言葉に、ありすはゆっくりと瞳を見開く。
次の瞬間、とくん。と心臓が跳ねた。
月明かりの下で、微笑む着物姿の男性は、
落ち着いた雰囲気はするものの、
さほど老成している様子はない。
ありすより、いくつか年上に見える。
ふとその優しげな笑みが、
記憶の中の彼に重なるように思えたのは、
手のひらに乗せられた小さな白い花のせいか。
「はい……もしかしたら……?」
意味ありげにくすっと笑うと、
ありすに手を伸ばす。
「戻りましょうか?」
その言葉に、ありすは咄嗟に顔を横に振る。
(私、橘さんを捜しに来たんだった……)
もう一度首を左右に振ると、
にっこりと笑みを唇に浮かべる。
「もう少しだけここに居ます。
お花……ありがとうございました」
ありすの言葉に少しだけ驚いた顔をして、
次の瞬間その表情を押し隠す様に、
唇をゆっくりと笑みの形に変えていく。
「じゃあ、また後で」
丁寧な会釈をすると、駿はありすの横を
すり抜けるようにして、部屋に向かって歩き始める。
ふわりと着物に焚き染めた香が香って。
何処かその香りは懐かしくて。
微かに後ろ髪を惹かれるような感覚を持つ。
ゆっくりとありすが振り向くと、
そのタイミングで振り向いて、
緩やかに瞳を細めて、
そのまま振り向くことなく立ち去ったのだった。
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きっと、この花、
今年初めて咲いたんじゃないかな。
そう思ってのぞき込んでしまったせいで、
貴女が転んでしまったみたいですけど……」
ありすが手のひらを開くと、
そこにあったのは。
「……シロツメグサ?」
それは小さな頃、よくありすがここで、
花冠を作っていた愛らしい花だった。
「ええ。可愛いシロツメグサに気付いた
次の瞬間、ありすさんが倒れ込んで来たんです。
なんだか……」
ふっと声を低めて、ありすの方に屈みこみ、
「──運命みたいですね」
耳元で甘く囁く。
「……運命……?」
その言葉に、ありすはゆっくりと瞳を見開く。
次の瞬間、とくん。と心臓が跳ねた。
月明かりの下で、微笑む着物姿の男性は、
落ち着いた雰囲気はするものの、
さほど老成している様子はない。
ありすより、いくつか年上に見える。
ふとその優しげな笑みが、
記憶の中の彼に重なるように思えたのは、
手のひらに乗せられた小さな白い花のせいか。
「はい……もしかしたら……?」
意味ありげにくすっと笑うと、
ありすに手を伸ばす。
「戻りましょうか?」
その言葉に、ありすは咄嗟に顔を横に振る。
(私、橘さんを捜しに来たんだった……)
もう一度首を左右に振ると、
にっこりと笑みを唇に浮かべる。
「もう少しだけここに居ます。
お花……ありがとうございました」
ありすの言葉に少しだけ驚いた顔をして、
次の瞬間その表情を押し隠す様に、
唇をゆっくりと笑みの形に変えていく。
「じゃあ、また後で」
丁寧な会釈をすると、駿はありすの横を
すり抜けるようにして、部屋に向かって歩き始める。
ふわりと着物に焚き染めた香が香って。
何処かその香りは懐かしくて。
微かに後ろ髪を惹かれるような感覚を持つ。
ゆっくりとありすが振り向くと、
そのタイミングで振り向いて、
緩やかに瞳を細めて、
そのまま振り向くことなく立ち去ったのだった。
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