溺愛執事に花嫁教育をされてしまいそうです
「ああ。とっても似合っていらっしゃる」
真っ白なドレスワンピースを身に着けた
ありすを見て、橘は瞳を細めた。

わざわざ今日のパーティの為に、
用意されたドレスに、メイクとヘアまで
整えてくれる人まで来て、
気付くと、ありすはそれなりに、
パーティの主役にふさわしい様相に整えられている。

「あの……橘さん。私……」
いざ、その見合いを目的にしたような
パーティに出る、となると、
最初感じていたような不安感を感じてしまう。

ドキドキと不安感で震える指に、
ふと瞳を落とすと、
次の瞬間、温かいものが手を包んだ。

「……大丈夫ですよ。
お嬢様は、とっても綺麗で愛らしい。
自信を持ってください」

温かいものは、橘の大きな手のひらだった。
ぎゅっとありすの手を優しく握りしめるようにすると、
視線を上げたありすの瞳をじっと見て、
穏やかに微笑まれて、
ありすは先ほどまでの不安な鼓動に、
ドキドキする違う色合いが混ざっていることに
まだ気づけていない。

「そろそろ、会場に参りましょうか」
橘の言葉に、胸に手を当てて、
はぁっと大きく一つ深呼吸して、

ありすは小さく頷いたのだった。
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